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初登場⋯相続登記義務化の意義 【福岡 | リノベーション | レトリック】
シャチョウ 兼 CEOの宜本です。
レトリックに連日数多くのお問い合わせをいただき、ありがとうございます。
弊社も綱渡りではありながらも、早9期目に入りました。これもお客様とのご愛顧あってのこと、これまで頂戴した御縁に改めまして深謝申し上げます。
さて、弊社は数年前までLIVEZという仲介業者様、プロ向けのメールマガジンを配信しておりましたが、過日のコーポレートサイトのリニューアルで一旦そちらは停止、日々の情報発信と弊社スタッフの人物や嗜好を深く知っていただくことを主眼として当ブログを運営しております。
※創業1年目の懐かしいメールマガジン⋯LIVEZ vol.12
昨日、弊社スタッフの今村、加賀其から「社長と副社長がブログを書かないのはどうなのか」とゴモットモな小言を言われましたので…私も参戦と相成りました。前段はこれぐらいにして、一発目から業務、仕事のことで大変恐縮ですが⋯今日のお題は「相続登記の義務化」。
詳しく書いてみます。
弊社グループ メイヴスの津田がYOUTUBEでも触れていましたが、
【2024年4月1日から、相続や遺贈によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を行う義務を負う】という法改正がありました。
そもそも、所有者が不明である土地が日本国土の中にどれくらいあるのでしょうか。
「土地の所有者が不明なんてことがあるわけがない、それぐらいわかるだろう」という声も聞こえてきそうですが、実はこの不透明な土地、判明しているだけで全国に約420万ヘクタールあると言われています。これがどれだけ広大なのか。福岡県全域の面積が約4,971k㎡≒497,100ヘクタールですから、日本全土で福岡県全域の約8.5倍にもなる面積の土地(九州全域よりも広い面積)が所有者不明の状態、この現実は非常に重い問題です。
登記実務に深く携わっている私自身も(一応⋯土地家屋調査士ですので)ここまで深刻であるとは正直知りませんでしたが、相続登記がなされていない状態が続いた結果、この解消がどれほど大変なのかを今身に染みて感じています。
上の画像は現在進行中で私が携わっているある不動産の相続関係を示した書面=相続関係図です。(個人情報保護のため、画像をぼかしています、見辛いですがご了承ください)
簡単に説明すると、既にお亡くなりになった8名が未だに現登記名義人のままで約50年放置、この相続人がまた亡くなって⋯延々と枝分かれを繰り返した結果、真正な法定相続人が総勢41名。
この事案の場合、戸籍と除籍謄本だけで約130通を郵送で役所等から取得~途方もない権利関係のチェックを経て、41名の所有者の名義に書き換える作業=すなわち相続登記だけで21件の登記申請が必要、且つ相続登記後に不動産を売却する場合には、当然ながら所有権移転登記が合計41件必要になります。
近年の法改正で共有物分割請求訴訟や所在等不明共有者持分取得の申立て等、相続登記がないままで所有権移転を行う有効な裁判手続きが存在しますが、どれも制度趣旨、取り組める要件を鑑みると一長一短、制度の限界が見え隠れしますし、やはり相続登記がなされなかった期間と、この解消に必要な労力は正比例する傾向にあるというのが現実です。
加えて、自己に関わる相続登記だけなら他の共有者の同意なしに申請できますが、仮に売買まで行う場合においては自己持分の相続手続~売却が完了した後に、他の共有者から「相続放棄したい」という意向が示されただけで「新たに持分が発生→再度買主と交渉して売買する必要に迫れる」ことになる可能性も否定できません。また相続放棄という手続きも癖がありまして⋯意外と費用がかかったりします。
もうひとつ、相続登記~売買のケースで多いのは「相続人が判明して相続登記まで行き着いたが、真正な所有者は事理弁識能力を欠いている」※自らが行った行為の結果、何らかの法的な責任が生じるということを認識できる能力がない=平べったくいえば認知症の原因疾患を発症している場合等、この所有者は契約行為ができないわけですから、売るために別途成年後見等の裁判手続を経たりと⋯時間も労力も一段とハードルがあがるケース。ちなみに、成年後見だけで経験上およそ半年程度はかかりますし、その間に高齢でお亡くなりになる場合もあったりと、また急に相続が発生⋯、いつ発生するのか誰にもわからないところが相続の非常に難儀なところです。
長々と難しいことばかり書き綴りましたが⋯
日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性は87.14歳(厚生省発表・2023年簡易生命表)、子供は減り続け、高齢化に歯止めがかかることはないでしょうし、これからまだまだ相続事案が増加傾向であるというのは言うまでもありません。
前述のケースのように非常に難しい状況にならないためにも、相続が発生、または近い将来その可能性がある場合には、早めに知見のある不動産業者(我々のような⋯)にご相談になることを切に願います。
それでは次の機会にまた。